水虫薬 おすすめの市販薬 – 完治しない・効かないときの選び方

水虫薬の効き目は、さまざまな条件によって左右されます。たとえば、次のようなものです。

  1. 水虫の菌の種類(数種類あります)。
  2. 足の皮膚の状態や体質
  3. 普段履いている靴の種類、靴下の材質、1日のうち靴を履いている時間、靴の中の湿度

このような要素が複雑に絡み合って、水虫薬の効き目を左右します。

したがって、「最強の水虫薬」は人により違います。一般的な売れ筋ランキングは無意味です。大事なことは、自分にあう水虫薬を見つけること。そして、使ってみてもし効き目が悪ければ、別の薬に変えることです。

市販の水虫薬の選び方・変え方

水虫薬を毎日ちゃんと塗っているのに、いつまでも完治しない!

治療の効果がない理由は、水虫薬があなたの水虫に合っていないのかも知れません。チューブ1本使っても症状が改善しないなら、他の薬を試してみることをお勧めします。

ただし、やみくもに変えればよいというものではありません。

変え方が重要なのです。

このページでは、水虫薬が効かないときにの変え方を御説明します。

まずは以下の説明をお読みいただき、水虫薬が効く原理を理解してください。

水虫薬の主成分は抗真菌薬

水虫の塗り薬には、水虫菌を死滅させる成分が含まれす。この殺菌成分を「抗真菌薬」と呼びます。

抗真菌薬は、病気の治療に使われる抗生物質と字面が似ていますが、両者は別物です。

抗真菌薬 ー 真菌(カビの一種)を退治する。

抗生物質 ー 細菌を殺す(殺菌する)。

水虫菌は「カビ」の一種(真菌)なので、抗生物質では治癒しません。真菌を退治するための抗真菌薬が必要です。

抗真菌薬には何種類がありますが、市販の水虫薬に含まれる抗真菌薬は、ほぼ以下の4つのどれかです。

  • ブテナフィン塩酸塩
  • テルビナフィン塩酸塩
  • ラノコナゾール
  • ミコナゾール硝酸塩

水虫薬のパッケージを見ると、含まれている抗真菌薬の種類がわかります。

上の写真は市販の「ラミシール」という水虫薬のチューブです。この薬にはテルビナフィン塩酸塩が1%含まれています。

同じ抗真菌薬を使っている例

市販の水虫薬に使われている抗真菌薬は数種類しかないため、メーカーや商品名が違っても、同じ抗真菌薬を使っている場合があります。

一例をあげます。

たとえば薬局に必ずおいてある3つの有名な水虫薬、

  • ラミシール
  • エクシブ
  • ダマリングランデ

この3つの水虫薬が含有している抗真菌薬は、同じ「テルビナフィン塩酸塩」です。

つまり、この3つの水虫薬は、商品名は違いますが、実質的には同じ薬です。

ということは……

この3種類の水虫薬は、3つとも似たような特性、効能をもっています。

したがって、たとえばラミシールを塗ってもあまり効かなかった人は、エクシブやダマリングランデに変えてみても、同じように効かない可能性が高いと言えます。

Point1
メーカーや商品名が違っても、抗真菌薬が同じなら実質的にはほぼ同じ薬です。

市販の水虫薬の主成分はおおむね4種類

さきほど述べたとおり、市販の水虫薬の主成分(抗真菌薬)は、おおむね以下の4種類のどれかです。

  • ブテナフィン塩酸塩
  • テルビナフィン塩酸塩
  • ラノコナゾール
  • ミコナゾール硝酸塩

近所の薬局にある水虫薬は、主成分ごとにおおむね4つに分類できます

水虫市販薬と主成分の対照表は以下のとおりです。主成分ごとに背景色を4色に塗り分けています。

主成分(抗真菌薬)、副成分の一覧表
水虫薬の商品名 抗真菌薬 副成分
かゆみ止め 浸透力
ブテナロックVα ブテナフィン クロタミトン等
メディータム リドカイン
ラミシールAT テルビナフィン
ラミシールプラス クロタミトン 尿素5%
ダマリングランデ リドカイン
メンソレータムエクシブ リドカイン等
メンソレータムエクシブ10 リドカイン等 尿素10%
ピロエースZ ラノコナゾール クロタミトン
ダマリンL ミコナゾール クロタミトン等 尿素3%

「抗真菌薬」の欄に記載してある、ブテナフィン、テルビナフィン、ラノコナゾール、ミコナゾールが、水虫薬のメインの薬効成分です。

その右の「副成分」は、水虫の不快な症状(かゆみ、炎症など)を対処療法的に抑えるなどの効力がありますが、水虫菌を退治するものではありません。副成分については、後にあらためて触れます。

水虫菌の種類

水虫の原因となる白癬菌には種類があります。約10種類あると言われます。

参照 》日本皮膚学界HP「皮膚糸状菌(白癬菌)とは何ですか?」

自分の水虫菌が正確にわかれば一番よく効く水虫薬を選ぶことができそうですが、残念ながら、それは簡単ではありません。

なぜなら、水虫の患部を肉眼で見ても、菌の種類はわからないからです。

Point2
水虫菌の種類を肉眼で見分けることは不可能です。だから、「一番よく効く水虫薬」をあらかじめ知ることは困難です。

とりあえずどれか試してみる

街の薬局で薬剤師さんに相談するのは良い方法です。ただし、そのアドバイスは一般論の域を出ません。あなたの足の水虫菌に一番よく効く水虫薬がどれかなのかは、教えてくれません。

口頭で症状を説明するだけで最適な水虫薬を選ぶのは、そもそも不可能なのです。

ですから、とりあえず売れ筋の水虫薬を試してみましょう

その薬が効けばそれでよし。効かなければ、また別の薬を試してみる。そういった、トライアンドエラー方式で治療にのぞむことになります。

皮膚科の処方も基本的には同じ

このことは、皮膚科の医院を受診する場合でも同じです。街の皮膚科の医師は、水虫と診断した場合、とりあえず薬を処方して、2週間後にまた来るよう指示します。

2週間後に薬の効果を確認して、症状の改善があれば、そのままその薬を使って本格的に治療します。効果がなければ、医師は、別の薬に変えてくれます。

自分で市販薬を使って水虫を治すときは、この「試用、経過観察、変更」のプロセスを、自分の判断でおこなうわけです。
Point3
とりあえず評判のいいものを使って、経過を見る。

とりあえず2週間使ってみる

どの水虫薬が一番よく効くかは、使ってみなければわかりません。だから、とりあえず評判のよい薬を試しに2週間ほど使ってみて、結果がよければそれでよし。

もしも、

「この薬は自分の水虫には効かないな」

と感じたら、主成分が違う別の薬に変えてみましょう。

「効かないときの変え方」こそが重要

水虫を治療するためには、どの薬を選ぶかよりも、

効かないときにどの薬に変えるか、

の方が重要です。

前述のとおり市販薬の主成分はおおむね4種類です。主成分が同じなら、商品名やメーカーが違っても「同じ薬」です。同じ主成分の薬に変えても効果は大差ありません。

「いろいろな薬を使ってみたが水虫が治らない」という人は、同じ主成分の薬に変えている可能性があります。

その人は、実際には、同じ薬を塗り続けていたわけです。

Point4
水虫薬を変えるときは、違う抗真菌薬が主成分の薬に変えてみる。

水虫薬を塗っても効かないときは、主成分が違う別の薬に変える。以下、主成分(抗真菌薬)ごとに代表的な水虫薬を掲載しますので、参考にしてください

(人によってベストな水虫薬は違うので、掲載順序はランキングではありません)。

ブテナフィン塩酸塩が主成分の水虫薬

テルビナフィン塩酸塩が主成分の水虫薬

ラノコナゾールが主成分の水虫薬

ミコナゾール硝酸塩が主成分の水虫薬

おすすめはエクシブ10

前項では水虫薬を4つ御紹介しました。では、この4つのうち、どれを最初に試すべきでしょうか。この点でヒントになるのが、

「副成分」

です。

水虫薬には、水虫菌を殺菌する成分(抗真菌薬)のほかに、かゆみ止めや角質軟化剤などの副成分が配合されています。

下の表は、市販の水虫薬の副成分を整理したものです(冒頭の表の副成分の欄を抜き出しています)。

【市販の水虫薬の副成分比較表】
水虫薬の商品名 かゆみどめ 浸透力強化
ブテナロックVα クロタミトン等
メディータム リドカイン
ラミシールAT
ラミシールプラス クロタミトン 尿素5%
ダマリングランデ リドカイン
メンソレータムエクシブ リドカイン等
メンソレータムエクシブ10 リドカイン等 尿素10%
ピロエースZ クロタミトン
ダマリンL クロタミトン等 尿素3%

特徴的なのは、「尿素」を配合している3つの水虫薬です。

おすすめの水虫薬はエクシブ10

水虫は完治しにくい病気です。完治が困難な理由は、水虫菌が角質深くまで侵入していて、薬が届きにくいからです。

尿素10%配合で角質浸透力の強いエクシブ10

副成分の一覧表をもう一度みてください。

【市販の水虫薬の副成分比較表】
水虫薬の商品名 かゆみどめ 浸透力強化
ブテナロックVα クロタミトン等
メディータム リドカイン
ラミシールAT
ラミシールプラス クロタミトン 尿素5%
ダマリングランデ リドカイン
メンソレータムエクシブ リドカイン等
メンソレータムエクシブ10 リドカイン等 尿素10%
ピロエースZ クロタミトン
ダマリンL クロタミトン等 尿素3%

メンソレータムエクシブ10だけが、皮膚への浸透力をアップする尿素を10%も配合しています。

この尿素の量は、一般的な保湿クリーム(ハンドクリーム)なみの含有量です。たとえば資生堂のハンドクリームがちょうど尿素10%配合です。

尿素で角質が柔らかくなれば、水虫薬の主成分(殺菌成分)が皮膚の深部まで浸透しやすくなります。

水虫の症状が進行している場合、皮膚の深部まで水虫菌が侵入しています。その水虫菌を駆除するには、尿素配合で浸透力が高いメンソレータムエクシブ10が、おすすめです

Point4
浸透力で選ぶなら、おすすめはエクシブ10。

なお、エクシブには、かゆみ止めのリドカインも配合されています。

リドカイン(かゆみ止め)で症状を緩和しつつ、尿素の作用で主成分(テルビナフィン)を皮膚に浸透させ、じっくり殺菌するイメージです。治療期間は3ヶ月は必要です。

しばらく使って改善が見られなければ、主成分の違う別の水虫薬に変えることをお勧めします。エクシブの主成分はテルビナフィンです。したがって、テルビナフィン以外の主成分の水虫薬、たとえばダマリンLなどがおすすめになります。

水虫薬の形態について

市販の水虫薬には、チューブ入りのクリーム剤とボトル入りの液剤があります(スプレー式は液剤のバリエーションです)。さらに、街の薬局では売っていませんが、皮膚科では錠剤タイプの水虫薬を処方することもあります。

クリーム剤と液剤の比較

それぞれの特徴は、次のように言われています。

  • クリーム剤:普通の水虫、じゅくじゅく水虫に使用する。
  • 液剤・スプレー:かさかさの水虫に使用する。
  • 錠剤(処方薬):爪水虫を体の内側から治療する。

さきほど御紹介したエクシブやラミシールにも、クリーム剤、液剤そしてスプレー式があります。

医師が推薦するのはクリーム剤

皮膚科で処方されることが多いのはクリーム剤です。

皮膚科の専門医の著書でも、クリーム剤が推薦されています

【「水虫を完全に治す本」比留間政太郎著より】

私が患者さんにすすめるのは、クリーム剤です。クリーム剤には、

  1. 見た目がテカテカせず、きれいである
  2. 軟膏ほどベタベタせず、石けんを使わなくても水で洗い流せる
  3. 薬の伸びがよく、少量で広い面積をぬることができる
  4. 角質層への浸透率がよい

などのメリットがあります。

水虫薬の形態で迷ったら、クリーム剤を選んでおけばよいと思います。おすすめは、さきほど御紹介したメンソレータムエクシブ10クリームです。